通訳案内士試験の二次対策についての第3回です。
これまで2回にわたり、試験のポイントをまとめてきました。
【第1回】試験の全体像と「逐次通訳」
【通訳案内士】日頃の積み上げが大事!二次試験(口述)対策[1]
【第2回】「プレゼン」と必要な4つのスキル
今回は試験内容の3つ目である「質疑応答」について。
2015年に実際に試験を受けたときの様子や必要なスキル、反省点を簡単にまとめてみました。
質疑応答について
プレゼン(2分程度)の終了後は、質疑応答へ。
ここからは、日本人試験官だけではなく、ネイティブスピーカーの試験官も積極的に関わってきます。
主な質問内容
質問内容は、大きく分けて3つ。
- 自分がしたプレゼンの内容に関する質問
- プレゼンで選んだテーマに関連のある質問
- その他
人により異なりますが、平均すると3〜5問程度だと思います。
必要なスキル
ここで必要となるのが、スピーキング力ももちろんですが、リスニング力。相手の質問を聞き、理解するスキルも求められます。
また、通訳案内士として必要なのは、やはりコミュニケーション力。相手の目を見て話す・聞き取りやすいように早く話しすぎないなども重要なポイントです。質疑応答だけではなく、逐次通訳・プレゼンでもアイコンタクトはぜひ意識したい。
【参考】テニスプレーヤー・錦織圭
以前に、テニスの錦織圭選手の英語力について記事にしました。
リオオリンピック開幕!世界が注目する錦織圭選手、その英語力は?
彼は、スピーキング力もさることながら、リスニング力が際立っていることでも有名。海外メディアからの評価も高いです。
相手が言っていること、質問の意図を理解して的確に答える。コミュニケーションにおいて大事なポイントをしっかりおさえ、インタビュアーからの質問に答えています。
本番の振り返り
2015年12月に受験したときの内容です。
プレゼンのテーマと内容まとめ
次の内容で即興プレゼンを約2分間で行い、質疑応答へ。
【テーマ】
「坂本龍馬」を選択 ※他の選択肢は「合掌造り」「金沢の名産品」
【内容】
・坂本龍馬の簡単なバックグラウンド(いつの時代、何をしたのか)・現代の日本でも人気がある(ドラマや映画などでもよく題材となる)
・自分の坂本龍馬に対する見解
試験官からの主な質問3つ
- 「坂本龍馬」に関連する場所としては、どこをおすすめするか。
- 歴史的観点から、他におすすめしたい場所(観光地)はあるか。
- どうして通訳案内士になりたいのか、どんな通訳案内士になりたいか。
1・3は外国人試験官から、2は日本人試験官からの質問です。
試験官の雰囲気
ネイティブの方は、自分がリアルな外国人観光客であるかの雰囲気を出すよう、意識していたような印象を受けました。自分の発言の間も、目を合わせてくれたりうなずいたりと、反応が分かりやすかった。
対して日本人試験官は、もう少しかちっとした印象。発言中は、メモを取られていたので、あまり目線は合わず。この雰囲気が、緊張感を高めました。
質問に関する考察
試験官がなぜこの質問をしたのか。意図としては、おそらく通訳案内士としての教養・知識を備えているのかどうかを判断したかったのだと思います。
実際、プレゼンでは地理・歴史の知識を十分にアウトプットできていなかったので、ここがきちんと出来ているかをチェックするための質問だと感じました。
質問に対する自分の答え
1)龍馬に関連する場所
土佐藩ということで、高知県について。有名な観光地を具体例としてご紹介。かなりベーシックな情報をお伝えしたのみ。[例]坂本龍馬記念館、桂浜の龍馬像(市南部に位置する)など。
『高知龍馬空港』についてご紹介するのを忘れてしまったのが、ちょっと心残り。
名称にインパクトがあるので覚えていたのに、本番ではすっかり頭から抜けてしまい、アウトプットする機会を逃しました。残念。
2)おすすめの場所
京都の『龍安寺(りょうあんじ)』を、おすすめしたい場所としてご紹介。どこにあるのか、どんな特徴があるのかについて簡単に説明。
特徴は、もちろん枯山水庭について。15の石と白砂から構成されているなど、概要をお伝えしました。
そして、ここでは自分が発言した内容から派生する質問を、2〜3個ほど受けました。なぜこの場所を選んだのか。やはり、歴史的な観点からの答えを求められました。それに対しては、禅との関連性、日本人の精神・文化などと絡めて回答。
3)なぜ・どういった通訳案内士になりたいか
本番の再現が難しいのですが、簡単にまとめると以下。
古くから継承されている日本の文化・伝統はもちろんだが、現代の日常生活や町中にも外国人が興味を持つポイントはたくさんあるはず。ユニークな視点からもご案内ができるような通訳ガイドを目指したい。
事前の情報収集の段階で、このような質問がある可能性は把握してました。なので、伝えたいポイントは予め整理して準備。でも、本番では、伝えたかったポイント全てには言及できませんでした。
アイデアを頭の中からすぐ引き出すことができるように、意識して練習していかねばと感じます。今後の課題かもしれません。
【余談】予想外の嬉しいひとこと
3番目の質問で、試験時間である10分が経過。終了となりました。が、試験の最後に、思わぬ質問をネイティブ試験官から受けることに。
「どこで英語を学んだのか?」と聞かれたので、自分の基盤となっているのはフィリピンでの短期留学の経験と日本での学習だと回答。すると「それは面白い。アクセントが好きだ。(I like your accent.)」というひとことが。
予想外の会話でびっくりしましたが、そういってもらえて嬉しかったのと、なんだか少し安心したのを覚えています。知識のアウトプットはイマイチな出来でしたが、全体的な感触としては大丈夫なのかな? という気持ちに。
でも、結果が出るまでは、もちろん確信は持てませんでした。
自分の英語のルーツ
実は、このアクセントの件。全く別の方にも言われたことが。
面白いといってくださったのは、おそらく次の3つの要素がミックスされているからかもしれません。いろんなところから影響を受けて、それが自分の英語となっている気がします。
- フィリピン英語(短期留学・オンライン英会話)
- 日本英語(生まれながら)
- アメリカ英語(学生時代の勉強・教材の影響)
英語はアメリカ・イギリス英語だけじゃない。世界中の色んな人が使い、それに触れることで、その人ならではの英語になる。改めてそう実感した出来事でした。
最後にひとこと
二次試験の「質疑応答」についてのまとめでした。
まとめの通りで、歴史・地理などに関する知識に関しては、ベーシックなものしかお伝えしてません。つまりは、知識量という面で、試験で求められるレベルは高いものではないと考えられます。
もちろん、知識は多く・深いに越したことはありませんが、あまり深みにはまりすぎずに、最低限の知識をしっかりおさえることに注力する。今回の経験からは、二次試験対策としてはそれでも十分戦えると感じました。
これから試験にチャレンジする方のご参考になれれば嬉しいです。
次回内容(近日更新します!)
- 試験対策で使った参考書・教材
- スピーキングの具体的な練習方法
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