今回は、二次試験(口述)についてです。
通訳案内士試験では、一次の筆記をパスすると、面接へと進むことになります。ここで必要となるのが、実践でも求められるスピーキング力。
これから数回にわたって、2015年に実際に試験を受けたときの様子や気づいたこと、試験前の対策として使った教材・学習方法についてご紹介します。
第1回は、試験の全体像について簡単なおさらいと「逐次通訳」について。
二次試験(口述試験)の構成
試験時間は約10分間。試験官は、日本人とネイティブスピーカーの2名です。
内容は、以下の3つで構成されています。
- 逐次通訳:試験官が日本語で読み上げる文章を、受験外国語で通訳する
- プレゼン:テーマが書かれた3つのカードから1つ選び、プレゼンする
- 質疑応答:プレゼンの内容に関して、試験官からの質問に答える
各項目の詳細と主な流れ
【1】 逐次通訳
簡単な自己紹介が終わったら、早速試験へと移ります。日本人試験官から、試験内容・進め方について説明を受けてスタート。
- メモ用紙(バインダー付き)、ペンが用意してある
- 日本人試験官が、日本語で文章を読み上げる
- 聞きながら紙にメモする → メモを頼りに英語にする
【2】プレゼンテーション
こちらも日本人試験官から、簡単な説明を受けてからスタート。
- 日本語で書かれたテーマが記載された3枚のカードから1枚を選ぶ
- プレゼンの内容を考える(準備時間は30秒、メモを取ってOK)
- 自分のメモを参照しながら、2分程度でプレゼンする
ちなみに、テーマは「日本の地理、歴史、産業、文化、経済などに関するもので外国人の興味が高いもの」が題材とされます。
【3】質疑応答
ここからは、ネイティブスピーカーの試験官も積極的に関わってきます。質問内容は、大きく分けて3つです。
- 自分がしたプレゼンの内容に関する質問
- プレゼンで選んだテーマに関連のある質問
- その他
人により異なりますが、平均すると3〜5問程度だと思います。
では、今回クロースアップする「逐次通訳」についての詳細です。
逐次通訳(日本語→英語)について
2015年12月に受験したときの内容です。
テーマは「ラジオ体操」。日本語で読み上げられた文章はこちらです。
日本には、ラジオ体操という、ラジオから流れる音楽あるいは号令にあわせて行う体操があります。ラジオ体操は、工場や工事現場で始業前に行われたり、また、小学生の子供たちが早起きの習慣をつけるために、夏休みの早朝に近くの公園などに集まって行われます。
※テーマはいくつか用意されており、試験時間帯などにより異なる模様
本番の振り返り
まず、「ラジオ体操」という言葉を英語でどう伝えるか。
これに迷いましたが「physical activity」という表現を使うことに。試験後に調べたところ、「radio gymnastic exercises」などという言い方ができるみたいですね。
メモでは一字一句を逃さずに書くというよりは、どんな内容なのかを把握するように意識しました。英語で伝えるときには、上記の2行の文章を細分化し、合計で5文くらいの文章にした記憶があります。
必要なスキル・対策方法
「日本語→英語」にするときには、自分でセンテンスを作成する力が必須となります。この力がある一定レベルに達していないと、逐次通訳もそうですが、プレゼンにも対応していくのは難しい。
実際に試験を受けてみて、やっておくといいと感じたことがいくつかありましたので、整理してみました。 英語のスキル以外にも、必要な要素があると感じてます。
やっておくといいこと
1)メモとりは、事前の練習をしておいた方がいい。慣れてないと、一言一句書き取ろうとして、大事なポイントを逃す危険性も。
2)全てを書き取る必要はないので、キーワードや文章の大きな流れ、大意をつかむ練習を行う。
3)メモ書きを見ながら、同時にセンテンスを作成する練習を行う。
本番で意識したいこと
本番はメモ書きだけみて話すのは、避けた方がおそらくいい。試験官を、実際の外国人観光客だと思って説明するよう、意識することも大事だと思います。
適度なアイコンタクト、早く話しすぎない、分かりやすく伝えられるように。
おすすめ練習方法
【1】基本練習
まずはメモとり、センテンスを作成する練習を行う。
- 日本語で3行〜5行程度の文章を読み上げ、録音する
- 録音した声を聞きながら、実際にメモとりの練習
- 自分のメモを見ながら、スピーキングを行う
スマホについてる音声録音機能や、ICレコーダーなどを活用する。
【2】ブラッシュアップ
スキルアップのためには、復習をして表現のブラッシュアップを行う。
- スピーキングしたものを録音し、文字におこす
- 文法やワードチョイスなど間違えたところを、自分で直す
- 文章を添削してもらい、表現のブラッシュアップを行う
文章の添削には、オンライン英会話や添削サービス、ランゲージエクスチェンジ(言語交換) などを活用するのがおすすめ。
@nakamai_jpは、オンライン英会話を最大限に活用してます。
最後にひとこと
二次試験の全体像、そして逐次通訳についてのまとめでした。
スピーキング力はやってすぐに身に付くものではないので、日々の積み上げが大事になると思います。試験日までの期間に、出来ることからまず始めてみる。
それでは、また次回に。プレゼン・質疑応答の対策方法、おすすめ教材についてご紹介しますね。
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